2022年、ジョアン・ムーラはClearbitでAIエンジニアリングの取り組みを指揮していました。Clearbitはビジネスインテリジェンスツールの統合ハブを作成するスタートアップです。ムーラはAI統合の開発とClearbitのAI製品ロードマップの策定を担当していました。
1年後、HubSpotがClearbitを買収し、ムーラは独立する機会をつかみました。以前にもUrdogなどのスタートアップを立ち上げていたムーラは、今回は技術的により野心的なコンセプトを考えていました。
ムーラの最新企業であるCrewAIは、レポートの要約や新入社員のオンボーディングなどの繰り返し業務を自動化することを目的としています。顧客はCrewAIのプラットフォームを使用してワークフローの自動化を構築し、ダッシュボードから展開および追跡することができます。
CrewAI自体はAIモデルのトレーニングを行いません。代わりに、OpenAIやAnthropicなどのベンダーからモデルを利用して自動化を推進します。企業は、マーケティングデータベースの充実、顧客フィードバックの分析、トレンドの予測などを自動化するために、既存のアプリケーションの上にワークフローを構築できます。
ムーラは、CrewAIをロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の代替案と位置付けています。RPAはワークフローの自動化を推進しますが、「if-then」のプリセットルールに基づいたより堅牢な形態です。
確かに、RPAは脆弱であり、エラーを起こしやすいです。RPAベンダーであるRobocorpの2022年の調査によると、RPAを導入した組織のうち69%が週に少なくとも1回はワークフローの故障を経験しています。企業全体が、エンタープライズのRPAインストールを管理し、故障を防ぐのに役立つビジネスを形成しています。
もちろん、AIも壊れる可能性があります。あるいはむしろ、幻覚を見たり偏見の影響を受けたりします。それでも、ムーラはRPAよりもはるかに強靭なテクノロジーだと主張しています。
投資家たちも同意しているようです。CrewAIは、Boldstart Ventures、Craft Ventures、Earl Grey Capital、Insight Partnersなどの支援者からシードラウンドおよびシリーズAラウンドで1800万ドルを調達しています。Courseraの共同設立者でAI起業家のアンドリュー・エング氏や、HubSpotの共同設立者兼CTOであるダーメシュ・シャー氏も投資しています。
CrewAIは競合他社が数多く存在します。Orby、Bardeen(HubSpotの出資もあり)、Tektonic、11x.ai、Twin Labs、Emergenceなどが同様のAIを活用したビジネス向けワークフロー自動化製品を開発しています。一方、Automation AnywhereやUiPathなどの従来のRPAベンダーは、AIテクノロジーをツールに組み込む取り組みを行っています。
評価額約1億ドルのCrewAIは、創業1年で150人の顧客を獲得することに成功しました(CrewAIは1月に開始)。さらに、新しいマネージドサブスクリプションプランであるEnterprise Cloudを活用してさらに多くの顧客を獲得しようとしています。
過去1年間にリリースされたオープンソースコンポーネントをベースに構築されたEnterprise Cloudは、追加のアクセス制御および分析を提供して自動化を保護し、監査するコントロールをサポートします。加入者は「VIP」サポートやワークフローのテンプレートも提供されます。
「私たちは1日あたり10万件のマルチAI実行グループを数百の異なるユースケースで見ています」とムーラは述べています。「現在のパイプラインを考えると、来年の夏にはキャッシュフローがプラスになる可能性があります」と付け加えました。
米国サンフランシスコとブラジルに拠点を置くCrewAIは、これまで調達した資金を使って16人の従業員を増やし、コアオートメーション製品を拡大する予定です。
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